自家採種 野菜栽培

カブの自家採種|初心者でもできる種採りの方法を解説!

2025年5月21日

この記事では、カブの種の取り方をご紹介します。

カブの種取りは、ポイントを知らないと失敗してしまう確率が上がります。

長年種取りに取り組んでいる筆者が、失敗しないコツを分かりやすく解説するので、ぜひ参考にしてください!

カブの自家採種の概要

自家採種の時期:5月(花が枯れ、カラカラになったら収穫)

自家採種の方法:株につけたまま完熟させ、実が自然に割れるまで待ってから収穫

採れる種の量:1つの実から10〜20粒程度(実の大きさによって変動)

自家採種に適した品種:みやまコカブ、木曽紫カブなどの固定種・在来種

カブの自家採種のポイント

カブは少し種取りが難しい野菜です。

種取りのポイントをご紹介します。

自家採種に向くカブの品種を選ぶ

カブの種をとるなら、種取りに適したものを選ぶのも成功のポイントです。

  • F1(えふわん
  • 〇〇交配(こうはい

と種の袋に書かれたカブは避けると良いです。

理由は、種をとっても同じカブが育たないことが多いためです。

F1や交配と記載のない種子=「固定種(こていしゅ)」のカブを選ぶのがおすすめです。

交配種(F1)からは種がとれないの?

結論、交配種のカブからも種は採れます

ただし、その種をまいても同じカブは出来ません。

育ててみないとどんな野菜が出来るか分からない...

そんなワクワクを楽しみたい方は、交配種から種を採ってみても良いかもしれません。

種取りに向いているかぶの品種は?

在来種は、その土地の気候や風土に長年なじんできた“地域の顔”ともいえるカブで、自家採種に最も向いています!

たとえば、

・切葉天王寺蕪(きりばてんのうじかぶ)

・大野紅かぶ(おおのべにかぶ)

・芦島蕪(あしじまかぶ)、

・みやまコカブ、

・木曽紫カブ(きそむらさきかぶ)

などがその例になります。

このような、代々種をつないできたカブは、もともと自家採種を前提に栽培されてきたものです。こうした在来種を選ぶことで、その土地に合ったカブを育てながら、安定した種をつなぐことができます。

交配種と固定種のカブの見分け方は?

F1の表記がなければ固定種

まず、固定種のカブを選びたい場合、

いちばん確実なのがカブのタネ袋の表記です。

F1種のカブには必ず「F1」「一代交配」と明記されています。

固定種にはその表記がなく、「〇〇育成」とだけ書かれている場合が多いです。

説明文からも読み取れます

次に、説明文の雰囲気にもちょっとした違いがあります。

F1は「揃いが良い」「病気に強い」「生育が安定」など、均一性をアピールする傾向があります。

一方、固定種は「昔ながらの味」「自家採種に向く」「風味豊か」など、個性を感じさせる表現が多いです。

もし表記だけでは判断がつかなくて迷ってしまった場合は、「F1なら必ず明記される」というシンプルなルールを思い出してください。特に表示がなければ、固定種のカブの可能性が高いですよ!

固定種専門店から購入すれば安心

さらに、そもそも固定種だけを扱う専門店で買うという選択肢もあります。

こういうお店なら、どれを選んでも固定種なので安心です。

  • たねの森
  • 野口種苗
  • つるしん(交配種もあり)
  • ナチュラルハーベスト(海外の種専門店・交配種もあり)

カブの交雑を防ぐ

カブの自家採種で特に重要なのは、交雑(こうざつ)させないようにすること。

交雑とは、違うカブや野菜の花粉が付き、ミックスされた種ができることです。交雑すると全然違う野菜になってしまいます。

交雑した例

・小松菜と交わり、根っこが太らず、葉っぱが主体に

・もともと白い品種が、赤いカブに変わる

交雑を防ぐためには、品種ごとに畑を分けたり、花が咲く時期に寒冷紗(かんれいしゃ)をかけるなどの工夫が必要です。

「絶対に混ざってほしくない品種」は物理的に隔離するのが安心です。

ハクサイ、コマツナ、チンゲンサイ、ミズナなど他のアブラナ科作物とは距離をとるか、開花時期に網などで囲って隔離しましょう。

カブの種取りのやり方

1.秋にカブの種をまく

カブは冬の寒さに当たることで、

花が咲きタネが出来る野菜です。

そのため秋に播くのが基本

秋にカブを播き、晩春に種を収穫します。

カブの種を採るには春まきじゃダメなの?

カブは、冬の低温にしっかり当たることで花芽をつくる性質があります。
この低温がいわば開花のスイッチになっていて、種を採るうえでは欠かせません。
そのため、秋にまいて越冬させる方法がいちばん自然で、安定して開花と結実につながります。

秋まきが種採りに向く理由

冬の低温によって花芽が作られやすい

春に気温が上がると同時にとう立ちし、自然に開花してくれる

初夏の比較的乾いた時期に莢が熟しやすく、種がきれいに仕上がる

この流れがカブの生態と日本の季節にちょうど合っているため、採種が成功しやすいんです。

春まきでカブを育てるとどうなるか

春まきのカブは食用としては育つのですが、
種を採る目的になると難易度が一気に上がります。

春まきで起きやすいこと

  1. 育つ時期の気温が高く、花芽ができるための低温期間が足りないため、根と葉ばかりが成長し、タネが出来ない
  2. たまに寒の戻りで急にとう立ち(花が咲く)しても、結実までの季節が足りず種が熟さない
  3. 梅雨や高温多湿の時期と重なり、莢が乾かずに腐ったり未熟なまま終わる

つまり、春まきでは、

開花しない・しても種が成熟しない

というケースがとても多く、
実用的な種を確実に採るには適していないです。

また、カブは1個だけでは種をつけない植物のため、必ず同じ品種を複数隣同士で育てましょう。

2つあれば種を付けますが、可能であれば種用に10本程度育ててください。

数が多いほど、色々な個体と受粉するので、種が強くなります。

少ない数で毎年種を採っていくと、種がどんどん弱っていくので注意が必要です。

2.カブの種採り用株の選抜

カブの種採りは、どのカブから種を採るか適当に選んでもいいですが、しっかり見極めて選ぶことで、より良い種を採ることができます。

1度掘りあげて、良い種が採れそうなカブを選ぶことを「母本選抜」といいます。

余裕がある方はぜひ挑戦してみましょう!

カブの母本選抜の方法:母本を選ぶ

カブの収穫時期になったら、1度まとめて掘りあげます。

掘ったカブを並べてどの個体がいいか見極めましょう。

種採り用のカブ(母本)は品種の特徴がよく表れていて、病気に強く、生育の良いものを基準に選びます。

選ぶときには以下のポイントを見ましょう:

  • 立ち枯れがない、子葉が大きく胚軸が徒長していない
  • 葉の形や切れ込みなど、品種特有の草姿
  • 根の形や色、ヒゲ根の様子が品種らしいか
  • 葉の茂り具合と根の形が良好か

品種の多様性を維持するため、すべてを揃えすぎないことも大切です。

カブの母本選抜の方法:カブを埋め直す

選んだ母本は再度畑に埋め戻します。

溝を掘り、斜めに寝かせて並べて、カブの肩の部分までしっかり隠れるように土を被せます。

3.カブの越冬

カブは寒さに比較的強いですが、寒冷地などでは、越冬できずに枯れてしまう可能もあります。

凍結を防ぐためワラや雑草マルチをカブの周りに保温するように被せましょう。マルチやトンネル資材を使うのもおすすめです。

極寒地では段ボール保管もおすすめ

冬にマイナス気温が続く極寒地では、畑で越冬させずに、掘りあげて段ボール保管もおすすめです。

掘りあげたカブを湿らせた砂と一緒に新聞紙や段ボールで包み、5℃前後の冷暗所で保存します。

春に元の畑または別の場所に植え替えます。

4.カブの開花と結実

翌春、越冬したカブは花を咲かせ、種ができます。

菜の花として食べられる部分もありますが、種取りを優先する場合は大部分の花をそのままにしておきましょう。莢が黄変し、種が褐色になり始めたら収穫のタイミングです。

5.カブの種の収穫と保存

根元から鎌で刈り取り、3〜4日陰干しします。乾いた莢はバケツや桶の中で叩いて種を取り出し、風でゴミを飛ばして調整します。

種は風通しのよい日陰で2〜3日しっかり乾燥させてから、紙袋などに入れて低温乾燥状態で保存しましょう。うまく種を保存すれば、3年程度高い発芽率を維持できます。

カブの自家採種Q&A

Q. 自家採種した種って、どのくらい持ちますか?

A. 乾燥状態が良ければ、カブの種は1〜2年、保存状態が良ければ3年程度まで発芽率が保てます。なるべく翌年中に使うのがおすすめです。

Q. 小さな家庭菜園でも自家採種できますか?

A. もちろん可能です。ただし、本数はなるべく多くあった方が良いでしょう。一応カブは2株あれば受粉できますが、それでも10株はあると安心です。近くに別品種のアブラナ科野菜があるときは、網などで囲う工夫をしましょう。

カブの自家採種まとめ

カブの自家採種は、ちょっとしたコツと工夫さえ押さえておけば難しくありません。

何より、自分で選んでつないできた種から育てたカブは、驚くほど元気で育てやすく、しかもおいしい!

自然栽培の基本は、自家採種から始まるとも言われています。自分だけの味を育てる楽しさ、ぜひ体験してみてください。

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