自家採種 野菜栽培

カブの自家採種|初心者でもできる種採りの方法を解説!

2025年5月21日

「カブって、どうやって種を採ればいいの?」

そんな疑問を持っている方に向けて、この記事では、自家採種の方法を詳しくご紹介します。根菜類ならではのコツや注意点を押さえておけば、誰でもおいしくて丈夫なカブの種を毎年採れるようになります。

自家採種はちょっと手間がかかるように感じるかもしれませんが、自分の畑に合った野菜を育てられるようになる楽しさは格別です。しかも、種を毎年買う必要もなくなりますよ。

カブの自家採種の概要

自家採種の時期:10月頃(株が枯れ始める頃が目安)

自家採種の方法:株につけたまま完熟させ、実が自然に割れるまで待ってから収穫

採れる種の量:1つの実から10〜20粒程度(実の大きさによって変動)

自家採種に適した品種:みやまコカブ、木曽紫カブなどの固定種・在来種

カブの自家採種のポイント

自家採種に向くカブの品種を選ぶ

自家採種を成功させるためには、まず品種選びが重要です。

「F1(エフワン)品種」は異なる親同士を掛け合わせた交配種なので、翌年同じような形や味になるとは限りません。一方、昔ながらの「固定種」や「在来種」は、形や性質が安定していて自家採種に向いています。

昔は近所で同じ品種の野菜を育てることが多かったため、交雑してもあまり形質が崩れることはありませんでした。しかし今は違います。近くに他の品種の花があると、虫によって花粉が運ばれて交雑する可能性があります。

カブの交雑を防ぐための工夫

交雑を防ぐためには、品種ごとに畑を分けたり、花が咲く時期に寒冷紗(かんれいしゃ)をかけるなどの工夫が必要です。「絶対に混ざってほしくない品種」は物理的に隔離するのが安心です。

交雑のリスクを避けるため、同時期に開花するハクサイ、コマツナ、チンゲンサイ、ミズナなど他のアブラナ科作物とは距離をとるか、開花時期に網などで囲って隔離しましょう。

カブの自家採種のやり方

1.カブを育てる

まずはカブを育てましょう。栽培方法は食用のカブを育てる際と同じで大丈夫ですが、種を採るなら「秋まき」にしましょう。

カブは越年性作物で、開花と結実を経て種を作るためには冬越しが必要です。しっかり冬の寒さにあてることで花芽ができ、春に開花します。

また、カブは1個だけでは種をつけない植物のため、必ず同じ品種を複数隣同士で育てましょう。

2つあれば種を付けますが、可能であれば種用に10本程度育ててください。

数が多いほど、色々な個体と受粉するので、種が強くなります。

少ない数で毎年種を採っていくと、種がどんどん弱っていくので注意が必要です。

2.カブの種採り用株の選抜

カブの種採りは、どのカブから種を採るか適当に選んでもいいですが、しっかり見極めて選ぶことで、より良い種を採ることができます。

1度掘りあげて、良い種が採れそうなカブを選ぶことを「母本選抜」といいます。

余裕がある方はぜひ挑戦してみましょう!

カブの母本選抜の方法:母本を選ぶ

カブの収穫時期になったら、1度まとめて掘りあげます。

掘ったカブを並べてどの個体がいいか見極めましょう。

種採り用のカブ(母本)は品種の特徴がよく表れていて、病気に強く、生育の良いものを基準に選びます。

選ぶときには以下のポイントを見ましょう:

  • 立ち枯れがない、子葉が大きく胚軸が徒長していない
  • 葉の形や切れ込みなど、品種特有の草姿
  • 根の形や色、ヒゲ根の様子が品種らしいか
  • 葉の茂り具合と根の形が良好か

品種の多様性を維持するため、すべてを揃えすぎないことも大切です。

カブの母本選抜の方法:カブを埋め直す

選んだ母本は再度畑に埋め戻します。

溝を掘り、斜めに寝かせて並べて、カブの肩の部分までしっかり隠れるように土を被せます。

3.カブの越冬

カブは寒さに比較的強いですが、寒冷地などでは、越冬できずに枯れてしまう可能もあります。

凍結を防ぐためワラや雑草マルチをカブの周りに保温するように被せましょう。マルチやトンネル資材を使うのもおすすめです。

極寒地では段ボール保管もおすすめ

冬にマイナス気温が続く極寒地では、畑で越冬させずに、掘りあげて段ボール保管もおすすめです。

掘りあげたカブを湿らせた砂と一緒に新聞紙や段ボールで包み、5℃前後の冷暗所で保存します。

春に元の畑または別の場所に植え替えます。

4.カブの開花と結実

翌春、越冬したカブは花を咲かせ、種ができます。

菜の花として食べられる部分もありますが、種取りを優先する場合は大部分の花をそのままにしておきましょう。莢が黄変し、種が褐色になり始めたら収穫のタイミングです。

5.カブの種の収穫と保存

根元から鎌で刈り取り、3〜4日陰干しします。乾いた莢はバケツや桶の中で叩いて種を取り出し、風でゴミを飛ばして調整します。

種は風通しのよい日陰で2〜3日しっかり乾燥させてから、紙袋などに入れて低温乾燥状態で保存しましょう。うまく種を保存すれば、3年程度高い発芽率を維持できます。

カブの自家採種Q&A

Q. 自家採種した種って、どのくらい持ちますか?

A. 乾燥状態が良ければ、カブの種は1〜2年、保存状態が良ければ3年程度まで発芽率が保てます。なるべく翌年中に使うのがおすすめです。

Q. 小さな家庭菜園でも自家採種できますか?

A. もちろん可能です。ただし、本数はなるべく多くあった方が良いでしょう。一応カブは2株あれば受粉できますが、それでも10株はあると安心です。近くに別品種のアブラナ科野菜があるときは、網などで囲う工夫をしましょう。

カブの自家採種まとめ

カブの自家採種は、ちょっとしたコツと工夫さえ押さえておけば難しくありません。

何より、自分で選んでつないできた種から育てたカブは、驚くほど元気で育てやすく、しかもおいしい!

自然栽培の基本は、自家採種から始まるとも言われています。自分だけの味を育てる楽しさ、ぜひ体験してみてください。

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