サツマイモの苗って、買うものだと思っていませんか?
実は、ちょっとしたコツを知っていれば、毎年苗を買わなくても、自宅で簡単に増やすことができるんです。この記事では、サツマイモの苗取り方法を初心者でも分かりやすくご紹介します。家庭菜園をもっとお得に、もっと楽しくしてみましょう!
目次
サツマイモの苗取り(自家増殖)とは?
サツマイモの苗取り、つまり"自家増殖"とは、前年に収穫したイモや、スーパーで買ったイモから苗を育てる方法です。サツマイモは生命力が強く、芽が出てしまったものでもうまく管理すれば、立派な苗に育ちます。
自家増殖の法律的な注意点
家庭菜園レベルで自分用に苗を増やす分には、特に法律上の問題はありません。趣味や自家消費の範囲であれば、種苗法の制限対象外です。
ただし、登録品種と呼ばれる特定の品種を商業目的で使用する場合は、育成者からの許可が必要になることがあります。たとえば「紅はるか」や「紅まさり」などは登録品種に該当し、利用には許諾が必要です。
一方、「安納芋」や「紅あずま」のような一般品種(固定種・在来種)については、登録されていないため自家採種や苗取りに制限はありません。昔ながらの種をつないでいく行為は、今でも家庭菜園で自由に楽しむことができます。
サツマイモの苗を自作するメリット
苗を買うと10本で500円前後と、意外と高価。でも、自分で苗を育てればコストが大幅に抑えられますし、品種の選択肢も広がります。また、毎年同じ品種を自分のペースで育てることができるため、家庭菜園の楽しさも倍増です。
一般的なサツマイモの苗づくり方法
家庭菜園でサツマイモを栽培するうえで、「芽出し」と「苗づくり」はとても重要なステップです。以下に代表的な方法をご紹介します。
芽出しと苗づくりのタイミング
芽出しのスタートは3月が目安です。発芽して苗として使えるようになるまでに1ヶ月半ほどかかるため、植え付け時期(4月中旬〜5月下旬)から逆算して始めましょう。
芽出し前には種芋を殺菌するのがおすすめです。45〜48℃のお湯に40分間つけて表面の菌を減らします。温度計を使い、途中でお湯を足して温度を保ちましょう。
苗づくりの方法
① 露地植え(畑に直接植える)
種イモを芽が上になるように畑に植え、伸びてきたツルを7節前後で切り取って苗とします。温暖な地域なら最も手軽な方法です。種イモの頂部(頭)から芽が出るため、向きを揃えて伏せ込むのがポイント。15度ほど傾けて植え、覆土は2~3cmが目安です。
② 水耕栽培
種イモを水に浸して芽を伸ばす方法です。室内で冬の間から始められますが、水替えの手間と雑菌管理に注意が必要です。
- 種イモは48℃で40分の温湯消毒をするとよいですが、皮に傷があると腐りやすくなります。
- 容器内の温度を25〜30℃に保つ工夫が重要。電気アンカや発泡スチロール箱が効果的です。
- イモの底部がふやけて腐敗しないよう、水の深さに注意しましょう。
- 芽が出たら徐々に光に慣らし、健康な苗に育てます。
③ 温床利用
発酵熱を利用した本格的な方法。枯れ葉や米ぬかを重ねて温床を作り、上に土をかぶせて種イモを植えます。家庭菜園では、発泡スチロール箱の簡易温床が現実的です。
- 箱の底に電気アンカを入れ、穴を開けた卵パックや牛乳パックを重ね、その中に湿らせた腐葉土を入れてイモを伏せこみます。
- 箱の温度は日中30℃、夜間25℃程度を保ちましょう。
- 水分過多に注意し、霧吹きで湿り気を保ちます。
プランターでさつまいもの苗取り
芽が出たイモを、プランターに半分顔を出すように植え、ほぼ放置で苗を育てる方法です。芽の部分だけ土に埋めればOK。芽が伸びて根が出たら、優しく引き抜いて苗として利用します。
- 10℃以上の場所で管理するのがポイント。
- 光はあまり必要ありません。
- 芽が5〜6cmほど伸びたら植えどきです。
小さなプランター2つで50〜60本の苗が育てられます。
苗の切り取りと植え付けのタイミング
芽が発芽してから1ヶ月半ほど経ち、葉が7〜8枚ついたら苗として利用できます。上から5節目の1cm下を清潔なハサミでカットし、根元に近い2〜3枚の葉は残します。
切り取った苗は3〜4日ほど日陰で置くと「不定根」と呼ばれる白い根が出てきます。これが出てきたら、苗として植え付け可能です。種イモからは5〜6回ほど苗を採取できます。
よくある質問(Q&A)
Q. 芽が出たイモはどこで買えますか? A. スーパーの地場野菜コーナーなどで、芽が出かかっているサツマイモが売られていることがあります。
Q. 芽かきって必要? A. 芽が多く出た場合は間引きして、元気な苗を育てましょう。
Q. 脇芽の苗っていいの? A. 根元から出る脇芽は成長が安定しており、苗に適しています。
Q. スーパーで買ったイモでも苗は作れますか? A. 芽が出ていればOKです。
Q. 芽が出ない場合はどうしたらいい? A. 室温が10℃以下だと発芽しづらいので、暖かい場所で管理しましょう。
Q. 苗が短いと植えても大丈夫? A. 3cm以下だと育ちが遅れる場合がありますが、枯れることは少ないです。
Q. 苗の植え方でイモの大きさは変わりますか? A. 水平方向に植えると複数のイモが育ちやすく、垂直に植えると大きなイモが1本できやすくなります。
まとめ
サツマイモの苗は、ほんの少しの工夫で誰でも簡単に自宅で育てることができます。お金も節約できて、好きな品種を好きなだけ増やせるのは大きなメリット。家庭菜園でも十分に挑戦できる内容なので、ぜひこの春から、あなたも苗取りにチャレンジしてみてくださいね!