この記事ではネギの種取り方法について、わかりやすく解説します。
ネギの種取りは、比較的簡単ですが、タイミングを逃すと種がこぼれ落ちてしまうので初心者の方は失敗してしまうことも多いです。
この記事では、自家採種を8年以上行ってきた筆者が、絶対に失敗しない種取りの方法を解説するのでぜひ参考にしてください。
ネギの種取りの概要
種を採る季節: 5月下旬~6月中旬頃(梅雨入り前の晴れ間が狙い目)
自家採種の方法: ネギ坊主(花)をつけたまま成熟させ、黒いタネが三角形状に露出したら茎ごと収穫
一つの株から取れる種の量: 1つのネギ坊主から100粒程度
種取りにおすすめの品種: 下仁田ネギ、松本一本ネギ、千住ネギ、九条ネギなど固定種(F1品種は種取りに不向き)
ネギの種取りのポイント
タイミングを逃さないのが最重要!

ネギの種取りで最も大切なのは収穫のタイミングです。
ネギ坊主が茶色く変色し、黒い三角形の種が点々と見え始めたらすぐに収穫しましょう。タイミングが遅れると茎が折れて地面に倒れ、せっかくの種がこぼれ落ちてしまいます。
5月下旬頃から2~3日おきにネギ坊主の様子をチェックして、ベストタイミングを逃さないようにしてくださいね!
種取りのサインはどう見分けるの?
ネギ坊主をよく観察すると、緑色だった表面に黒い点が現れ始めます。この黒い点が三角形を描くように点々と配置されているのが収穫のサインです。
最初は数個しか見えなくても、あっという間に全体が黒くなります。「まだ早いかな?」と思っても、3分の1程度黒い種が露出していれば収穫OK。むしろ早めに収穫して追熟させる方が安全です。
全部が真っ黒になるまで待つと、茎が折れるリスクが高まるので注意してください。
雨に濡れると種がダメになるって本当?
はい、本当です。ネギの種は雨に弱く、濡れた状態が続くとカビが生えたり、発芽力が低下したりします。
特に梅雨時期と重なるため、天気予報をしっかりチェックすることが大切です。
梅雨入り前の晴れ間を狙って種を採り、収穫後はすぐに雨の当たらない場所で乾燥させましょう。もし雨予報が続く場合は、少し早めでも収穫してしまった方が安全です。
ネギ坊主を収穫した後は、必ず風通しの良い軒下や室内で追熟・乾燥させることで、未熟な種も充実させることができます。
種取り用の株は最低5株以上を確保!

ネギの種取りをする場合は、 最低でも10株以上のネギを花を咲かせましょう。1~2株だけでは種の量が少ないだけでなく、丈夫な種が採れなくなります。
複数の株から採種することで、病気に強く、環境適応力の高い種を次世代に残すことができますよ。
なぜ1株だけではダメなの?
ネギは他家受粉植物で、自分の花粉では種ができにくい性質があります。複数の株があることで、ミツバチなどの昆虫が異なる株の間で花粉を運び、しっかりと受粉が行われます。
また、1株だけから採種を続けると「近親交配」になり、病気に弱かったり、生育が悪くなったりする「種の劣化」が起こります。これを防ぐために、最低5株以上、できれば20~30株から採種するのが理想です。
プロの採種農家では、さらに多くの株数で種取りを行い、品質の高い種を作っています。
種取り用の株はどう選ぶべき?
育てたネギの中から、種取り用の株は「元気で病気のない株」を選びましょう。
具体的には以下のポイントをチェックします。
- 太くてしっかりした茎を持つ株
- 葉が濃い緑色で、病斑や虫食いがない株
- 生育が旺盛で、他の株より早く大きくなった株
- トウ立ちが早すぎず、遅すぎない、適期にトウ立ちした株
逆に、病気が出た株や生育が悪い株、奇形の株からは種を採らないようにします。毎年良い株を選んで種取りを続けることで、自分の畑に適応した、どんどん丈夫なネギになっていきます。
交雑に注意!異品種は離して栽培する

ネギは虫媒花(ちゅうばいか)と呼ばれ、ミツバチなどの昆虫が花粉を運んで受粉します。
そのため、近くに異なる品種のネギが咲いていると、簡単に交雑してしまい、予想外の種ができてしまいます。
純粋な種を採りたい場合は、他の品種とはできるだけ離して栽培するか、防虫ネットで覆って隔離しましょう。
どのくらい離せば交雑しないの?
理想的には、異なる品種間で500m以上の距離を取るのが安全です。ミツバチの行動範囲は数kmにも及ぶため、完全に防ぐのは難しいですが、距離が離れるほど交雑の可能性は下がります。
家庭菜園で複数品種を育てている場合は、物理的に距離を取るのが難しいので、以下の方法がおすすめです:
- 時期をずらす: 開花時期が重ならないように、種まき時期をずらして栽培する
- ネットで覆う: 種取り用の株を防虫ネット(目合い0.6mm以下)で完全に覆い、虫の侵入を防ぐ
- 手で受粉: ネットで覆った中で、自分で異なる株の花をこすり合わせて受粉させる
近所でネギを栽培している家があると、そこからも花粉が飛んでくる可能性があるので、山間部の隔離された畑が採種には最適です。
F1品種から種を採ってはいけないの?
F1品種(一代交配種)から種を採ることはできますが、おすすめしません。
F1品種は、異なる系統の親を掛け合わせて作られた品種で、優れた特性(病気への強さ、収量、揃いの良さなど)を持っています。しかし、F1から採った種(F2世代)を蒔くと、親の特性がバラバラに分離して、品質が不均一になってしまいます。
具体的には、太いネギと細いネギが混在したり、病気に弱い株が出たり、本来の品種の特徴が失われたりします。
種取りをするなら、固定種(在来種)を選びましょう。固定種は何世代にわたって同じ特性が受け継がれるため、自家採種に向いています。千住ネギ、九条ネギ、下仁田ネギなどの伝統品種がおすすめです。
ネギの種取りの手順
1. ネギを栽培する

まずは、通常通りネギを栽培します。
秋に種をまき(9~10月播種)、冬を越えて来年の6月ごろにタネができるというイメージです。
種取り用と食用は同じ育て方でいいの?
基本的には同じ育て方で大丈夫ですが、なるべく厳しく育てた方が強いタネになります。
具体的には、
- 水を通常よりも控えめにする
- 肥料をなるべく与えない(または無肥料)
ただし、土の力が弱すぎる畑では、タネができるほどネギが成長しない場合も。その場合は自然堆肥などで、葉が濃い緑色で、しっかりとした茎を持つように管理しましょう。
種取りに適した栽培時期はいつ?
ネギは「緑植物低温感応型」という性質を持ち、ある程度の大きさ(葉鞘径5~7mm以上)に育った株が、冬の低温(10℃以下)に1ヶ月以上当たることで花芽を形成します。その後、春の暖かさと長い日照で花が咲きます。
この性質を利用して、秋に種まきした苗を冬越しさせることで、確実に翌春開花させることができます。
種取り用のネギは食べられる?
トウ立ちする前(冬の間)は、普通に食べられます!
ただし、トウ立ちして花茎が伸び始めると、葉や茎が固くなり、食味が落ちます。この時期のネギは「す」が入った状態になり、おいしくありません。
ネギ坊主自体は、若いうちなら天ぷらなどにして食べることもできます。独特の風味があり、意外と美味しいですよ。
種取り用と食用を兼ねたい場合は、多めに株を育てておいて、一部は冬に食べ、残りを種取り用に残すのがおすすめです。
2. ネギの花を咲かせる

冬を越したネギは、春(3~4月頃)になると先端に丸いネギ坊主(花序)ができ、白い小さな花がたくさん咲きます。
この花を咲かせておくことで種になります。
開花中の管理で気をつけることは?
開花中(4~5月)は、以下のポイントに注意しましょう。
水やり: 乾燥しすぎると花が落ちたり、種の充実が悪くなります。降雨が少ない時は、適度に水やりをしてください。ただし、過湿は禁物です。
支柱立て: 花茎は1m以上に伸びることがあり、風で倒れやすくなります。倒れると種が地面に触れてカビたり、茎が折れたりするので、支柱を立てて紐で固定しましょう。
害虫対策: アブラムシやアザミウマが発生しやすい時期です。花や種を食害されないよう、見つけ次第駆除してください。ただし、開花中は受粉昆虫も来るので、農薬の使用は最小限に。
病気予防: さび病やべと病が出やすい季節です。風通しを良くし、密植を避けることで予防できます。
ネギの花ってどんな形?受粉はどうやって起こるの?
ネギの花は、直径5~10cm程度の球形の「ネギ坊主」に、数百個の小さな白い花が集まって咲きます。一つ一つの花は6枚の花びらと6本のおしべ、1本のめしべを持つ、とても小さな花です。
開花期間は約2~3週間で、すべての花が一斉に咲くのではなく、徐々に咲いていきます。そのため、一つのネギ坊主の中でも種の熟期にバラツキが出ます。
受粉は主にミツバチなどの昆虫 によって行われます。虫たちが花から花へ移動することで、異なる株の花粉が運ばれて受粉します。風による受粉(風媒花)はほとんどありません。
家庭菜園で周囲に虫が少ない場合は、自分で異なる株の花を軽くこすり合わせて、手動で受粉を助けることもできます。
3. ネギ坊主を収穫する

開花から約1~1.5ヶ月後、5月下旬~6月中旬頃になると種が成熟してきます。
- ネギ坊主の表面が茶色く乾燥
- 黒い三角形の種が点々と露出
してきたら収穫のタイミングです。
ハサミや剪定バサミで切り取りましょう。全体の約3分の1に黒い種が見えたら収穫OKです。
早めに収穫しても種は使えるの?
はい、使えます!
少し早めに収穫しても、その後の追熟で種は充実します。むしろ、完熟を待ちすぎて茎が折れたり、種がこぼれたりするリスクの方が高いので、「少し早いかな?」というタイミングで収穫するのが安全です。
収穫後は、風通しの良い半日陰の場所で10日~2週間ほど逆さに吊るして追熟・乾燥させましょう。この間に、未熟だった種も充実して黒く固くなります。
完全に乾燥するまでは、絶対に雨に当てないように注意してください。
収穫が遅れるとどうなる?
収穫が遅れると、以下のようなトラブルが起こります:
茎が折れる: 種が重くなって茎に負担がかかり、風で折れやすくなります。折れると地面に倒れて、種が湿気でカビたり、発芽してしまったりします。
種がこぼれ落ちる: 完熟するとネギ坊主の房が自然に開いて、種がポロポロとこぼれ落ちます。せっかく育てた種を失ってしまいます。
発芽力が低下: 過熟になると、種が劣化して発芽率が下がることがあります。
ネギの種取りは「タイミングが命」です。5月下旬頃からこまめに観察して、ベストタイミングを逃さないようにしましょう。2~3日見ないうちに急に真っ黒になることもあるので、油断は禁物ですよ!
4. 種を取り出して乾燥させる

ネギ坊主が完全に乾燥したら、種を取り出します。 ネギ坊主を軽く揺すったり、手で揉んだりすると、黒い三角形の種がポロポロと落ちてきます。
大きめのボウルやバケツ、段ボール箱の上で作業すると、種を集めやすいですよ。
種を取り出す具体的な方法は?
種を取り出す方法はいくつかあります:
- 手で揉む方法: 乾燥したネギ坊主を両手で優しく揉むと、種が外れてパラパラと落ちます。簡単で確実な方法です。
- 袋に入れて叩く方法: ネギ坊主を紙袋やビニール袋に入れて、袋の外から軽く叩いたり揉んだりすると、種が袋の底に溜まります。この方法だと種が飛び散りません。
- ざるで振る方法: 目の粗いざるにネギ坊主を入れて振ると、種だけがざるの下に落ちます。その後、目の細かいざるでゴミを選別します。
種を取り出した後は、風で吹いて軽いゴミ(花殻や茎のカス)を飛ばすと、きれいな種だけが残ります。「唐箕(とうみ)」という道具を使うとプロみたいにできますが、家庭菜園ならうちわで扇ぐだけでも十分です。
取り出した種はすぐに使える?
取り出した直後の種はまだ湿気を含んでいる可能性があるので、 さらに1週間程度、新聞紙などに広げて室内で乾燥させましょう。
完全に乾燥した種は、カチカチに固くなり、手で押してもつぶれません。この状態になれば保存OKです。
乾燥が不十分だと、保存中にカビが生えたり、発芽力が落ちたりするので、しっかり乾燥させることが大切です。
天気の良い日に室内の風通しの良い場所で乾燥させ、直射日光は避けてください。日光に当てすぎると種が劣化します。
種の選別方法を詳しく教えて!
とった種の中には、目の出ないタネも混じっています。以下でご紹介するような方法で、目が出やすいタネを選ぶことができますが、家庭菜園であれば多めに蒔けば問題ないため不要です。
でも一応紹介します!
プロの採種農家は、複数の選別機を使って種を精選しますが、家庭菜園では以下の簡易的な方法で十分です。
- 水選(水に浮かべる方法): 採取した種を水の入ったボウルに入れます。充実した良い種は沈み、未熟な種や空っぽの種は浮きます。沈んだ種だけを使いましょう。ただし、水選した種は必ず完全に乾燥させてから保存してください。
- 目視選別: 種を新聞紙に広げて、明らかに小さい種や色が薄い種、変形した種を取り除きます。黒くて大きく、三角形がしっかりした種が良い種です。
- ふるい分け: 目の細かいふるいを使って、小さなゴミや未熟な種を取り除きます。
家庭菜園レベルなら、目視選別と水選を組み合わせるのが最も実用的です。
5. 種を保存する
乾燥させた種は、 紙袋 や 封筒 、 チャック付きビニール袋 に入れて保存します。湿気を防ぐために、乾燥剤(シリカゲル)を一緒に入れると安心です。
保存場所は、 冷暗所 または 冷蔵庫の野菜室 がおすすめ。ネギの種の寿命は 1~2年 と短いので、できるだけ翌年の春か秋には使い切りましょう。
ネギの種はなぜ短命なの?
ネギの種は、野菜の種の中でも 最も短命なグループ に入ります。これは種の構造と成分に理由があります。
ネギの種は油分が少なく、水分を吸収しやすい構造をしています。そのため、湿気の影響を受けやすく、常温で保存すると急速に発芽力が低下します。
理想的な保存条件は、**温度5~10℃、湿度40~50%**です。冷蔵庫の野菜室(約3~7℃)なら2年程度保存できますが、常温保存では1年で発芽率が50%以下に落ちることもあります。
古い種を使うと、発芽がまばらになって苗作りに失敗するので、できるだけ新しい種を使うことが成功のコツです。
自家採種したら、種袋に 採取年月日 を必ず記入しておきましょう。
種の発芽率を確認する方法は?
古い種や保存状態が心配な種は、播種前に 発芽テスト をすると安心です。
簡単な発芽テスト方法:
- 濡らしたキッチンペーパーを小皿に敷く
- その上に種を10~20粒並べる
- 上からもう1枚濡らしたキッチンペーパーをかぶせる
- ラップをして乾燥を防ぐ(ただし密閉せず、少し空気穴を開ける)
- 20℃前後の場所に置く
- 7~10日後、何粒発芽したかカウント
例えば、10粒中8粒発芽したら発芽率80%です。発芽率が50%以下の場合は、播種量を増やすか、新しい種を用意した方が良いでしょう。
発芽率が分かっていれば、「発芽率60%なら、通常の1.5倍の量を蒔く」といった調整ができて便利です。
自家採種の種と市販の種、何が違うの?
自家採種の種と市販の種には、いくつかの違いがあります:
市販の種の特徴:
- 専門の採種農家が理想的な環境で生産
- 発芽率90%以上に精選済み
- 病気の消毒処理(種子消毒)が施されている場合が多い
- 発芽率や採種年が明記されている
- 品種が安定していて均一に育つ
自家採種の種の特徴:
- 自分の畑の環境に適応した遺伝子を持つ
- 発芽率にバラつきがある(60~90%程度)
- 消毒処理はされていない(必要なら自分で行う)
- 毎年採種を続けると、その土地に適した丈夫な種になる
- コストがかからず、種を自給できる
どちらが優れているというわけではなく、それぞれに利点があります。初めての種取りの場合は、市販の固定種の種から始めて、数年かけて自分の畑に適応させていくのがおすすめです。
自家採種した種は消毒した方がいい?
病気が心配な場合は、種子消毒をすることもできますが、家庭菜園では 必須ではありません 。
ネギの主な種子伝染性病害には、軟腐病、黒斑病などがありますが、健全な株から採種し、保存をしっかり行えば、病気のリスクは低いです。
もし種子消毒をする場合は、以下の方法があります:
温湯消毒: 48~50℃のお湯に種を20~30分浸けて、種の表面の病原菌を殺菌します。プロも使う安全な方法ですが、温度管理が難しく、高すぎると種がダメになります。
薬剤消毒: チウラム剤などの種子消毒剤を使います。ホームセンターで購入できますが、家庭菜園では使いにくい面もあります。
有機栽培を目指す場合は、消毒せずに健全な種を選ぶこと、種まき前の土壌消毒、適切な輪作などで病気を防ぐ方が現実的です。
よくある失敗とその対策
失敗1:種がこぼれ落ちてしまった
原因: 収穫のタイミングが遅すぎた
対策: ネギ坊主の3分の1程度に黒い種が見えたら、すぐに収穫する。完熟を待たず、早めに収穫して追熟させるのが安全です。
こぼれた種は使える?拾って使っても大丈夫?
地面にこぼれた種は、土や湿気が付いていると カビや病原菌のリスク があるので、できれば使わない方が安全です。
もし使う場合は、よく洗って乾燥させてから保存してください。ただし、発芽率は低下している可能性が高いです。
地面に落ちた種は、そのまま放置しておけば翌春に自然に発芽することがあります。運が良ければ「こぼれ種からの自然発芽苗」として使えるかもしれませんね。
失敗2:種が未熟で小さい
原因: 株が弱っていた、または肥料・水が不足していた
対策: 種取り用の株は栄養をしっかり与えて育てる。開花期に乾燥させすぎないよう、適度に水やりをする。
未熟な種は使えないの?
未熟な種(小さくて色が薄い種)は、発芽率が低いか、全く発芽しないことが多いです。
発芽しても苗の生育が悪く、弱々しい株になりやすいので、できるだけ使わない方が良いでしょう。
水選をすると、未熟な種は水に浮くので、簡単に取り除くことができます。充実した種だけを選んで使いましょう。
失敗3:種がほとんど採れなかった
原因: 受粉がうまくいかなかった(株数が少ない、虫が少ない、開花期に悪天候が続いたなど)
対策: 種取り用の株は最低10株以上用意する。開花期に虫が来るよう、近くに花を植えておくのも効果的。ネットで覆う場合は、手で受粉を助ける。
受粉を助ける虫を増やす方法は?
ミツバチなどの受粉昆虫を畑に呼び込むには、以下の工夫が有効です:
1. 蜜源植物を近くに植える: ネギの開花時期(4~5月)に咲く花を近くに植えておくと、虫が集まってきます。ナノハナ、クローバー、ラベンダー、タイムなどがおすすめです。
2. 農薬を減らす: 殺虫剤は受粉昆虫にも影響します。ネギの開花期は農薬の使用を控えましょう。
3. 巣箱を設置する: 本格的にやるなら、ミツバチやマルハナバチの巣箱を設置する方法もあります。プロの採種農家も利用しています。
4. 手で受粉する: 虫が少ない場合は、異なる株の花を筆や綿棒でこすり合わせて、手で受粉を助けることもできます。
失敗4:雨に濡れてカビが生えた
原因: 梅雨時期に雨に当たってしまった
対策: 天気予報をチェックして、梅雨入り前に収穫する。収穫後は雨の当たらない場所で乾燥させる。万が一濡れたら、すぐに風通しの良い場所で乾燥させる。
カビが生えた種は使えない?
カビが生えた種は、 発芽率が著しく低下 しているか、病原菌を持っている可能性があるので、使わない方が安全です。
どうしても使いたい場合は、カビを洗い流して十分に乾燥させ、種子消毒(温湯消毒など)を行ってから使ってください。それでも発芽率は期待できないかもしれません。
カビを防ぐには、とにかく「乾燥」が大切です。収穫後はできるだけ早く、風通しの良い場所でカラカラに乾燥させましょう。
肥料や水を控えめにして環境適応力を高めよう!
ネギなど多くの植物には、 育った環境を記憶する性質 があります。乾燥しやすい場所や肥料・水を控えめにして育てると、翌年もその環境に強い種が残ります。
毎年同じ畑で無理のない栽培を続けることで、丈夫で育てやすい種が取れるようになるのでおすすめですよ!
同じ畑で育て続けると種子が強くなる理由は?
これは「 エピジェネティクス 」や「 適応進化 」と呼ばれる現象に関係しています。
植物は、ストレス環境(乾燥、低温、病原菌など)に晒されると、その情報を遺伝子に記録し、次世代に伝えることがあります。毎年同じ畑で種取りを続けると、その畑特有の環境(土壌、気候、病原菌など)に適応した種ができます。
例えば:
- 乾燥気味の畑で育てた種 → 乾燥に強いネギになる
- 寒冷地で育てた種 → 耐寒性が向上する
- 病気が出やすい畑で、病気に耐えた株から採種 → 病気に強くなる
これは1~2年では効果が出にくいですが、5年、10年と続けることで、自分の畑に最適化された「オリジナル品種」のようなネギになっていきます。
伝統野菜や在来品種の多くは、何十年、何百年とその土地で栽培され続けた結果、その土地に完璧に適応した品種になっているのです。
肥料を控えると種取りに良い理由は?
肥料を与えすぎると、植物は「楽な環境」に慣れてしまい、ストレス耐性が弱くなります。特に窒素肥料が多いと、葉や茎は大きく育ちますが、以下の問題が起こります:
- 軟弱に育つ: 組織が柔らかくなり、病気や害虫に弱くなる
- 種の充実が悪くなる: 栄養成長(葉茎の成長)に偏り、生殖成長(花・種の形成)に回るエネルギーが不足する
- 病気が出やすい: 軟腐病、さび病などが発生しやすくなる
一方、肥料を控えめにすると、植物は「生き残るために種を残そう」という本能が働き、しっかりした種をつけやすくなります。
ただし、極端に肥料不足だと株が弱りすぎて、種がほとんど採れなくなるので、バランスが大切です。「やや控えめ」くらいが理想的です。
まとめ
ネギの種取りは、ポイントを押さえれば初心者でも成功できます!
種取り成功の5つのポイント:
- タイミングを逃さない - 黒い種が3分の1見えたらすぐ収穫
- 株数を確保する - 最低10株以上から採種
- 梅雨前に収穫 - 雨に濡れないように注意
- しっかり乾燥させる - カビ予防と保存性向上のため
- 固定種を選ぶ - F1品種は避ける
自家採種を続けることで、あなたの畑に最適化された丈夫なネギになっていきます。毎年少しずつ育てやすくなる喜びを、ぜひ体験してくださいね!
種取りを続けることの意義とは?
自家採種を続けることには、実用的な意味だけでなく、深い意義があります:
経済的メリット:
- 種を買う必要がなくなり、コストが削減できる
- 一度種を買えば、ずっと自給できる
栽培的メリット:
- 自分の畑に適応した、育てやすい品種になる
- 病気や気候に強くなる
- 地産地消・自給自足の実践
文化的・教育的意義:
- 命のサイクルを実感できる
- 伝統野菜や在来品種の保存に貢献
- 子どもへの食育にも最適
- 種を通じて人とつながる(種の交換など)
昔は誰もが当たり前に行っていた「種取り」。現代では失われつつある技術ですが、これからの時代、自分で種を採る技術はますます価値が高まっていくでしょう。
一粒の種から無限の命が生まれる奇跡を、ぜひあなたも体験してください!