この記事では、家庭菜園初心者の方に向けて、ハクサイの種採りについてわかりやすく解説していきます。
自分で育てたハクサイから種を採っておけば、翌年も同じハクサイを育てることができます。この記事を読めば、種採りの基本から実践のコツまでしっかり学べます。
目次
種採りの概要
ハクサイの種採りは、冬を越えた株が春に花を咲かせ、その後にできる種を集める作業です。自分で種を採ることで、毎年種を買わずに済み、家庭菜園の楽しみも広がります。
- 種採りの時期:4月〜6月(地域差あり)
- 採れる種の量:1株から数百粒程度
- おすすめの品種:固定種や在来種(F1品種は避けましょう)
種採りのポイント
固定種を選ぶのが基本
野菜には「固定種」と「交配種(F1品種)」という2つのタイプがあります。
固定種とは、同じ品種を何世代も育てていく中で、形や大きさ、生育時期などが安定してきた種のことです。固定種の中でも少しばらつきはあるものの、同じ畑で毎年育てることで地域に合った丈夫な野菜になります。家庭菜園での自家採種にも向いています。
一方、交配種(F1)は、異なる親系統を掛け合わせて作られた一代限りの品種です。雑種強勢と呼ばれる性質により、生育の揃いが良く、病気にも強く、見た目も整っていて市場出荷に向いています。ただし、自家採種しても次の世代では同じ性質が再現されにくく、安定した収穫が見込めません。
F1品種は「一度きりの種」として考える必要があり、毎年種を買い直す必要があります。自家採種をしたいなら、まずは固定種を選びましょう。
元気で形の良い株を残す
種を採る株は、収穫せずにそのまま残す必要があります。特に、病気に強く、形の整った株を選ぶことで、次の世代も元気なハクサイになります。
花が咲いても焦らず、完熟を待つ
春になるとハクサイがトウ立ちして黄色い花を咲かせます。そのまま育て、莢(さや)ができて茶色くカラカラに乾くまで待ちましょう。中の種が黒っぽくなっていたら収穫のサインです。
結球ハクサイならではの注意点
ハクサイはキャベツなどと同じアブラナ科の野菜で、玉のように結球するのが特徴です。しかし、自然界に結球する植物はほとんど存在せず、これは人の手で選抜されてきた特別な性質です。つまり、結球ハクサイは人工的に育成された野菜であり、自然栽培ではやや難易度が高い部類に入ります。
そして大事なポイントとして、結球した状態のままでは内部が蒸れて腐ってしまい、花が咲きません。種を採りたい場合は、越冬させる前に外側の葉に包丁で縦に軽く切れ目を入れてあげることで、内部に空気が入りやすくなり、花芽が出やすくなります。こうしたひと手間を加えることで、確実に種採りまでつなげることができます。
また、自家採種を目的とする場合は「どの株から種を採るか」の選び方も大切です。生育が特に良く、外葉も大きくてしっかりとした株を残しましょう。結球するかどうかが不安なときでも、見た目や虫害の少なさを参考に選びます。特に虫に食われにくい株は、自然環境に強い証拠ですので、種採りにはおすすめです。
アブラナ科野菜の交雑に注意
ハクサイはアブラナ科の野菜で、同じアブラナ科の野菜(ダイコン、カブ、チンゲンサイなど)と簡単に交雑してしまいます。交雑すると、翌年にまいた種から思いもよらない姿の野菜が育つことがよくあります。
たとえば、カブの種をまいたのにチンゲンサイのような野菜が育ってしまうこともあります。自家採種を確実に成功させたい場合は、近くにアブラナ科の花を咲かせる野菜がないようにするか、同じ品種だけに限定して育てるようにしましょう。
家庭菜園では隣の畑との距離が近いため、交雑防止のためにはお隣の畑の状況にも気を配る必要があります。可能であれば、お隣さんにも協力してもらって、トウ立ち前に摘心してもらうなどの対策をしておくと安心です。
自家採種のやり方
秋に種をまいて冬を越す
まずは秋にハクサイの種をまいて育てます。収穫せずに残す株は、そのまま冬を越させましょう。
春にトウ立ちしたら、良い株を選んで残す
春になると花芽が伸びてきます。すべての株を残すのではなく、病気に強くて形の良いものを選んで、そのまま育てていきます。
花が咲き、莢がつくのを見守る
黄色い花が咲いた後、しばらくすると莢ができます。これが種になります。莢がしっかり乾くまで待ちましょう。
莢が乾いたら丁寧に収穫
莢が茶色くなり、触るとパリパリと割れるくらい乾いたら収穫のタイミングです。株ごと引き抜いて乾燥させる方法と、莢だけをハサミで切って集める方法があります。
日陰でさらに乾燥させる
収穫した莢は、風通しの良い日陰で数日間しっかり乾燥させます。湿ったままだとカビが生えることがあるので注意が必要です。
種を取り出して保存する
乾燥が終わったら、莢を割って種を取り出します。取り出した種は新聞紙などに広げてさらに乾燥させ、乾いたら密閉容器に入れて冷暗所で保管しましょう。
ハクサイの種採りQ&A
Q. 一つの株からどれくらい種が採れますか? A. 一株から数百粒の種が採れることもあります。家庭菜園用には十分な量です。
Q. 他の品種と交雑しますか? A. ハクサイはアブラナ科なので、近くに他のアブラナ科の花が咲いていると交雑することがあります。交雑を避けたい場合は、他のアブラナ科と距離を取るのがポイントです。
Q. うまく乾燥させるにはどうすればいいですか? A. 直射日光は避け、風通しの良い日陰で干すのが理想です。湿度が高い日は扇風機などを活用しても良いでしょう。
まとめ
ハクサイの種採りは、コツを押さえれば初心者でもできます。手間はかかりますが、その分だけ家庭菜園の楽しさも増します。
ぜひ今回ご紹介した方法を参考に、来年用の種を採ってみてくださいね。