家庭菜園を続けていると、毎年のように「今年はどの豆を育てようか」と考えるのも楽しみのひとつ。でも、その一方で種を毎回買うのも手間がかかるし、費用もかさんでしまいますよね。そんなときに役立つのが、自分で育てた豆から種を採る「自家採種」です。
この記事では、特にダイズ・エダマメの種採りについて、初心者にもわかりやすく手順とコツを解説していきます。家庭菜園の楽しみを広げるために、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ダイズ・エダマメの種採りの概要
- 自家採種の時期: 10月頃(霜が降りる前)
- 自家採種の方法: 莢が完熟してカラカラになるまで株ごと乾燥させてから収穫し、莢ごと乾かして脱穀
- 採れる種の量: 株によって異なるが、健康な株1つから数十粒以上
- 自家採種に適した品種: 固定種(例:だだ茶豆、丹波黒、在来種のエダマメやダイズ)
ダイズ・エダマメの種採りのポイント
1. 固定種を選ぶ
自家採種をするなら、まずは固定種を選ぶことが大切です。固定種は代々同じ形質を保ちやすく、毎年同じような作物を育てることができます。交配種(F1品種)は形質が不安定なため、自家採種には向きません。
また、大豆は基本的に自家受粉しますが、虫の影響でまれに交雑することがあります。異なる品種を並べて植える場合は、境界付近の株からの採種は避けた方が安全です。
2. 健康な株を選ぶ
良い種を得るためには、どの株から採るかが重要です。茎が太くて倒れておらず、病気にかかっていないもの、葉が一斉に落ちて実のつきが良いものを選びましょう。また、虫食いやシワのない、品種本来の色と大きさの豆が収穫できる株を目安にします。
3. 肥料を与えずに育てる
丈夫な種を採るためには、あまり手をかけすぎず、自然に近い状態で育てるのが理想です。特に肥料を控えて育てると、根張りが良く病気にも強い株になりやすく、その結果、次世代の種も元気に育つ確率が高まります。
自家採種のやり方
今回は、エダマメ「だだ茶豆」の自家採種を行った事例をもとに、実践的な方法もご紹介します。ダイズとほぼ同様の手順で行えますので、参考にしてください。
1. 収穫と乾燥
葉が黄色くなって落ちる頃が収穫のタイミングです。株元から切って、軒先など風通しの良い場所で、株を逆さにして吊るすか、日当たりの良い場所で雨よけをして乾燥させます。
この時、莢(さや)から豆を取り出してしまうと、水分の含み方にムラができやすく、大粒の品種では特に影響が大きいため、必ず莢ごと乾燥させましょう。
2. 種の選別と脱穀
莢がカラカラに乾いたら、脱穀します。
よく乾いたものは種も取り出しやすいです。袋に入れて、軽く叩いて脱穀します。
脱穀後は、まず目の粗いふるいでサヤや大きなゴミを除き、その後に目の細かいふるいを使って種子を残します。細かなゴミは風を使って吹き飛ばしましょう。
そのあと、虫食いや病気のないものを手作業で選び、最終的な種子とします。
4. 枝豆の種を保存する
すぐにまく予定の豆は、紙袋に入れてシリカゲルと一緒に種を保存します。湿気を避けるため、冷暗所で保管するのがポイントです。
翌年以降に使う豆は、ペットボトルに8割ほど詰め、まずは口を開けたまま涼しい場所で2週間ほど置いておきます。この間、豆が呼吸してペットボトル内に炭酸ガスが溜まり、豆自身とマメゾウムシなどの害虫を休眠させる効果があります。
2週間後にしっかりと蓋を閉じて密封すれば、保存性が高まり、発芽率の低下や虫の被害を防ぐことができます。
自家採種Q&A
Q: 自家採種とF1品種の違いは?
A: 自家採種は、固定種などを繰り返し育てて選抜していく方法です。一方、F1品種は交配種で、同じ形質が次世代に現れにくいため、自家採種には不向きとされています。
Q: エダマメの自家採種は難しい?
A: エダマメは糖分が高くカビやすいため、収穫と乾燥のタイミングが重要です。ただ、収穫期を工夫すれば、家庭菜園でも十分に自家採種が可能です。
Q: どれくらいの期間で良い種になる?
A: 種を取るだけでなく、品種を維持し、選抜して育てていくには3~5年かかります。
まとめ
ダイズ・エダマメの自家採種は、一見手間がかかるように見えますが、工夫と継続でしっかりとした良い種を残していくことができます。種採りは、ただの保存ではなく、未来の畑を育てる大切な作業。ぜひ、今年の収穫からチャレンジしてみてください。