家庭菜園で育てたジャガイモを、次の年の種芋として使えたら経済的で嬉しいですよね。実際、収穫後のジャガイモは芽が出てくるので「これをそのまま植えればいいのでは?」と思う方も多いはず。
ですが、ちょっと待ってください。収穫したジャガイモをそのまま種芋に使うには、いくつかの注意点があるんです。この記事では、自家採種のリスクやその回避方法、実際のやり方まで分かりやすく解説していきます。
目次
じゃがいもの種採りの概要
ジャガイモは、収穫したイモを次の年に植えれば再び育てられる「栄養繁殖」をする野菜です。条件が整えば、自家採種も十分可能です。ただし、病害虫のリスクを防ぐためには適切な管理が欠かせません。
自家採種の時期: 3月〜4月の植え付けに向けて、前年の秋〜冬に収穫した芋を保存しておきます。
自家採種の方法: 収穫後に健康な芋を選び、冷暗所で適切に保存します。植え付け前には緑化処理を行いましょう。
1株から採れる種の量: 中〜小ぶりの種芋であれば、1株から5〜10個ほどの種芋が目安となります。
自家採種に向く品種: 固定種や在来種を選びましょう。F1品種は性質が安定しないため、自家採種には不向きです。
じゃがいもの自家採種のポイント
ジャガイモの中には、長い年月をかけて地域の気候や土壌に適応し、種芋を更新しなくても健康に育つ在来種も存在します。特に標高が高く、水はけの良いやせた土地では、病害虫の発生が少なく、こうした品種が自家採種で代々育てられてきました。
初心者の方がすぐに在来種での栽培を始めるのは難しいかもしれませんが、自然に近い環境づくりや丁寧な管理を心がけることで、在来種のように長く自家採種を続けていくことも可能です。「できるだけ自然に任せた方法で育てたい」「家族の味を未来にも残したい」という思いが、自家採種の第一歩になるかもしれません。
市販の種芋との違いを知る
市販の種芋は、病気や害虫の検査をクリアしたうえで販売されています。検査項目には、ジャガイモガやシストセンチュウ、ウイルス病、青枯病などの病害虫が含まれており、家庭で育てたジャガイモにはこのような検査は行われません。
そのため、病原菌が知らぬ間に付着していて、翌年に広がってしまうリスクがあります。特に見た目では分からない感染もあるため注意が必要です。
病気のリスクに備える
収穫したジャガイモを使う場合、健康な株から採ったもので、育成中に異常がなかったものを選びましょう。葉の色や株の元気さも判断材料になります。
また、連作や肥料の過多は病害虫を招きやすいため、避けるようにしましょう。自然に近い環境で土壌を健康に保つことが、リスクを減らす鍵となります。
じゃがいもの自家採種のやり方
小さめの芋を選ぶ
保存や植え付けの扱いやすさを考えると、80〜120g程度の小ぶりな芋が適しています。大きい芋はカットが必要になり、そこから病気にかかりやすくなるため避けましょう。
また、小さな芋は芽の数が少なく、芽かきの手間も減ります。直径3〜4cmほどあれば、種芋としては十分です。
緑化処理を行う
種芋は植え付け前に数日間日光に当てて緑化させておくと、病気に強くなると言われています。これを「日光消毒」とも呼び、芽の状態も良くなる効果があります。
芽が伸びすぎた場合の対処
保存中に芽が長く伸びてしまった場合は、思い切って芽を取り除きましょう。新しい芽が出てきます。
切り口の処理
大きな芋を切る場合は、切り口をしっかり乾かしてから植えます。必要であれば木灰や石灰をまぶして、腐敗防止に役立てましょう。
肥料は控えめに
ジャガイモは肥料が少なくても育つ野菜です。多肥は病気の原因にもなるため、有機物の分解が進んだ土を使い、肥料は控えめにしましょう。
害虫対策をしっかりと
アブラムシはウイルスを媒介するため、日ごろから見回りをして駆除しましょう。ネットや防虫資材を活用するのも効果的です。
連作は避ける
ナス科であるジャガイモは、同じ場所で続けて育てると連作障害が出やすくなります。最低でも3〜4年は間隔を空けるのが理想です。
じゃがいもの自家採種Q&A
Q. スーパーで買ったジャガイモでも大丈夫? A. 食用のジャガイモは病原菌に感染していても販売が許されるため、種芋として使うのはおすすめできません。また、芽が出ないような処理がされていることもあります。
Q. 芽が出てきたジャガイモは使える? A. 芽が出ていること自体は問題ありませんが、芋全体の状態が良好であることが前提です。柔らかくなっている芋や変色している芋は避けましょう。
Q. 芽が長くなりすぎた場合は? A. 長く伸びた芽は、かき取ってしまっても新しい芽が出てくるので問題ありません。
Q. 一度使った土でまた育ててもいい? A. 同じ土では病気が残っている可能性があるため、連作は避けるのが基本です。輪作や雑草をうまく活用して土壌を休ませる工夫も有効です。
まとめ
収穫したジャガイモでも、ポイントを押さえれば自家採種として活用できます。ただし、病気や害虫のリスクがあることをしっかり理解し、丁寧な管理を心がけることが大切です。
F1品種は自家採種に不向きなので、固定種や在来種を選ぶこと、自然に近い環境で土壌を健康に保つことも大事なポイントです。
安全に自家採種を楽しむために、ぜひ今回ご紹介した方法を実践してみてくださいね。