夏の家庭菜園がひと段落し、夏野菜が終わる頃、次に楽しめるのがまくわうりの種採りです。今回は、自家採種初心者の方にもわかりやすく、種取りの方法をご紹介します。自分で育てた野菜の種を次の年にまくのは、とても楽しくて、家庭菜園の楽しみがぐっと広がりますよ。
目次
まくわうりの種採りの概要
まくわうりの種を採るには、まず正しい時期と方法を知ることが大切です。収穫を急がず、十分に熟した実から種を採るのがポイントです。
- 種採りの時期:夏の終わり〜秋口
- 採種に向く実:黄色く完熟したもの(収穫適期から約40〜56日放置)
- 採れる種の量:1本から100〜300粒ほど(品種によっては300個以上)
- 向いている品種:固定種や在来種(F1品種は避けましょう)
毎年白ウリ(固定種)を栽培している方は、5月中旬に土づくりと畝づくりを行い、黒マルチを張ってから直播きをしています。発芽後はホットキャップや防虫ネットで育苗し、7月には着果、そして7月末から収穫が始まります。8月中旬には完熟した実から自家製種を採取するというサイクルで、安定した収穫と採種ができています。
まくわうりの種採りのポイント
1. 固定種を選ぶこと
種採りをする場合は、F1品種ではなく固定種や在来種を選びましょう。F1品種は翌年同じ性質の実ができないことが多いため、種取りには向きません。甘露まくわうり(銀マクワ)などの固定種がおすすめです。
2. よく熟した実を使う
収穫してすぐではなく、お尻から甘い香りがしてきた頃が完熟のサイン。できれば数日室内に置いて、さらに追熟させると発芽率の高い良い種が採れます。
自家採種の手順
1. 果実を割って種を取り出す
包丁で軽く切れ目を入れ、あとは手で裂いて開きます。これは種を傷つけないためのコツです。ワタと一緒に種を取り出し、ボウルなどに集めます。
2. 種の洗浄と発酵
ゼリー状の部分をそのまま酸に強い容器(陶器やガラス製)に入れ、ラップをして室温で1日程度発酵させます。プクプクと泡が出てくるのが目安です。
また、別の方法として、完熟したウリの種を取り出してすぐに金網の笊でぬめりを洗い流し、1日陰干し、その後天日で数日カラカラになるまで乾燥させるというやり方もあります。乾燥後の種はポリ袋に入れて常温保存することも可能です。
3. 水洗いと乾燥
発酵が終わったら、種をよく水洗いします。水に浮く種は未熟なので捨てて、沈んだ良い種だけを残します。それをザルに上げて水気を切り、ふきんの上でよく乾かします。最後は晴れた日に半日ほど日干しして、しっかり乾燥させてください。
4. 保存
乾いた種は密閉容器(ビンやチャック付き袋など)に入れ、冷蔵庫で保存します。これで数年は使えます。
よくある質問
Q. どんな容器で発酵させたらいい?
A. 陶器やガラスのように酸に強い容器がおすすめです。プラスチックだと臭いが残ることがあるので注意しましょう。
Q. 発酵しすぎるとどうなる?
A. 発酵しすぎるとカビが生えることがあります。泡が出てきたら早めに水洗いしてください。
Q. 他のまくわうりと交雑しませんか?
A. 開花時期が重なると交雑の可能性があります。気になる場合は、1品種だけ育てるか、距離を離して育てるようにしましょう。
まとめ
まくわうりの種採りは、特別な道具もいらず、簡単にできる自家採種の第一歩です。自分で採った種から育てると、よりいっそう愛着がわきますし、年々その土地や育て方に合った実になっていく楽しさもあります。今年の夏、お気に入りのまくわうりを食べたら、ぜひ種取りにもチャレンジしてみてくださいね。