「ピーマンって、自分で種を採れるの?」と疑問に思ったことはありませんか?実は、ちょっとしたポイントを押さえるだけで、自宅の菜園でもピーマンの自家採種は可能です。
この記事では、家庭菜園で自然栽培したピーマンから、元気な種を採る方法をわかりやすく解説していきます。
目次
ピーマンの種採りの概要
自家採種の時期:8月〜10月ごろ 夏の終わりから秋にかけて、ピーマンがしっかりと赤く完熟する時期が、自家採種に最適なタイミングです。
自家採種の方法:完熟果を収穫し、追熟・乾燥して保存 ピーマンの実を赤くなるまで株につけたままにしておき、完熟後に収穫します。収穫した実は1週間ほど追熟させてから、中の種を取り出し、数日間自然乾燥させて保管します。
1株から採れる種の量:数十粒程度 1つの完熟ピーマンからは、数十粒の種が採れます。家庭菜園で使う分には十分な量です。
自家採種に向く品種:固定種・在来種を選ぶのが基本 F1品種では翌年に同じ性質のピーマンが育つとは限らないため、自家採種には固定種や在来種を選びましょう。毎年繰り返すことで、育てやすく丈夫な品種になっていきます。
おすすめ品種としては、カリフォルニアワンダー(完熟で赤くなる大型種)、バナナピーマン(果色の変化が楽しい中型種)、伏見甘長や紫とうがらし(伝統品種で育てやすい)などがあります。
環境に適応したピーマンを育てることができるうえ、家庭菜園の楽しみもぐんと広がります。
種採りのポイント
固定種・在来種を選ぼう
種を採る場合は、F1品種(交配種)ではなく、固定種や在来種のピーマンを選びましょう。F1品種は翌年に同じ性質の実をつけるとは限らないため、自家採種には向きません。
完熟させることが大事
ピーマンの実が赤くなるまでしっかり完熟させることが、自家採種の最大のポイント。緑のまま収穫した実の中の種はまだ未熟なので、発芽率が低くなってしまいます。
ピーマンの果実は開花から約60日かけて種が成熟します。収穫までの期間、病虫害が発生しないよう、健康な株を保つことが大切です。
交雑とカビに注意
ピーマンは自家受粉もしますが、他家受粉も起きやすく、近くにトウガラシ類があると交雑して辛くなることがあります。他家受粉率は40〜50%とも言われるため、交雑を防ぐには50m以上離すか、プランターでの隔離が有効です。
また、ピーマンはナス科で唯一空洞の果実をもち、湿気にとても弱いため、カビが発生しやすい野菜です。水はけと風通しの良い場所で育てるのが基本です。
栽培環境の工夫も大切
栽培前に「ネギ鞍つき」を用意し、ネギと一緒に植えることで、成長促進や病気予防の効果が期待できます。株間は50〜60cmの1条植えで風通しをよくし、地温15度以上になってから植えるのが安全です。
梅雨明け後は株元に刈り草を敷くと、湿度と温度の調整に役立ちます。
ピーマンの自家採種のやり方
1. 採種果の選定と管理
8月上旬ごろに、病虫害のない元気な株の太い枝についた実を採種用に決めましょう。採種果が育つ間は、他の花や実は落としてエネルギーを集中させると、より良い種が採れます。特にパプリカなど大型種は"1株1果"が基本です。
保険として2〜3株準備すると安心です。採種果には毛糸などで目印をつけておくと便利です。
採種果が実った後は追肥を控え、実の熟成に集中させましょう。特に窒素系肥料は避けると腐敗防止に役立ちます。
2. 完熟ピーマンの収穫と追熟
ピーマンの実をそのまま株につけたまま赤くなるまで育てます。赤くなったら、晴天が続いた日の夕方に収穫するのが理想です。水分の少ない時間帯を狙うことで、カビのリスクを下げられます。
収穫後は、風通しのよい日陰で1週間ほど追熟させます。
3. 種の取り出し
追熟後、果実の上部を切って種をむき出しにし、太陽光が当たる風通しの良い場所に置き、切り口を乾かすと種の成熟が促されます。ヘタをつけたままにすることで、養分が種に移りやすくなります。約10日間そのままにしておくと果肉がしぼみ、種がしっかり枯れ色になります。
その後、果肉から種を優しく外し、水洗いせずに乾いたまま集めます。新聞紙の上に並べて乾かしたり、目の細かいタマネギネットに入れて吊るしてもOKです。
4. 種を乾燥させる
取り出した種は、新聞紙などの上に広げて数日間自然乾燥させます。最初に天日で1日ほど乾かした後、半日陰で風通しの良い場所に1か月ほど置くと、しっかり乾燥できます。乾燥不十分だとカビが発生しやすくなるため注意しましょう。
5. 保存方法
乾燥剤と一緒に密閉容器に入れて、湿気を避けた場所に種を保存します。品種名や採種日を記した紙袋に入れておくと、管理がしやすくなります。室温・低湿の条件で保存すれば、ピーマンの種は3〜4年ほど寿命がありますが、発芽率を保つには1〜2年以内の使用が理想です。
ピーマンの自家採種Q&A
Q. 緑色のピーマンから種は採れませんか? A. 緑のピーマンは未熟な状態なので、種も未成熟です。発芽しないことが多いので、赤く完熟した実から採るようにしましょう。
Q. F1品種でも種は採れる? A. 採ることはできますが、翌年に同じピーマンが育つ保証はありません。形や味がバラつくことがあるため、自家採種には固定種がおすすめです。
Q. どのくらい種が採れるの? A. 1つの完熟ピーマンからは、数十粒の種が採れます。1株育てるのに必要な種は数粒なので、1個でも十分な量です。
Q. 保存のコツは? A. 完全に乾燥させてから、乾燥剤を入れた密閉容器で保管しましょう。虫やカビを防ぐため、湿気を徹底的に避けることがポイントです。
まとめ
ピーマンの種採りは、完熟させるタイミングや保存方法を覚えておけば、それほど難しい作業ではありません。
家庭菜園で育てたピーマンから自分で種を採ると、次の年の栽培がもっと楽しく、身近に感じられます。交雑やカビ、虫の対策をしながら、安定した自家採種を目指してみてください。ぜひ、自然栽培にぴったりの元気なピーマンの種を、自分の手で育ててみましょう。