この記事では日本ミツバチの重箱式巣箱(じゅうばこしきすばこ)の作り方を解説しています。
重箱式巣箱は
作るのが簡単
制作費用が安い
ミツバチに好まれやすい
管理がするのが楽
などのメリットがあり、養蜂を始めてみたいという初心者の方にもとてもおすすめな巣箱です。
重箱式巣箱は購入することもできますが、手作りするほうが費用が節約できるので、自分で一度作ってみるのがおすすめです。
箱を重ねるだけのシンプルな巣箱なので、初心者の方でも作りやすく、ホームセンターに売られている材料だけで作ることができます。
そこで、本記事では実際に僕が使っている日本ミツバチの巣箱の【重箱式巣箱】の作り方を詳しく解説しました。
なるべく一般的に手に入りやすいものだけで作れるようになっています。
目次
日本ミツバチを捕獲するための「待ち箱」
日本ミツバチを飼いはじめるにはまず春にミツバチの群れ 分蜂群(ぶんぽうぐん) を捕まえなればいけません。
今回作り方を紹介する巣箱は分蜂群を捕まえるための待ち箱(まちばこ)という屋根や台が付いていない状態のシンプルな重箱式巣箱になります。
一つの巣箱だけ設置しても日本ミツバチを捕獲できる確率は低いので、いくつもの箱を設置します。
最初から完璧に巣箱を完成させても、ミツバチが住み着いてくれなかった巣箱の分の屋根や台は使わないので、無駄になってしまいます。
そのためまずは待ち箱を作ってから、日本ミツバチの群れが住み着いた段階で屋根や台を追加する方法をおすすめします。
日本ミツバチの構造
重箱式巣箱の待ち箱は、 以下の5つの部品を重ねたシンプルな巣箱です。
・天井
・スノコ
・重箱(じゅうばこ)
・巣門(すもん)
・底板(そこいた)
天井
重箱式巣箱の一番上の部分になります。 簡単に言うと箱の蓋のようなものです。
巣箱内部がわの内側の面には、 金網を貼り付けます。
金網を貼り付けることで、ミツバチが巣を作らず、蓋の開け閉めができるようになります。
スノコ
天井から下の部分に入れる、 スノコのようなものです。
ニホンミツバチには、 天井に直接ではなく、 その下のスノコに巣を作ってもらいます。
こうすることで、開け閉めが自由になり、 上からも巣箱の様子を見れるようになります。
また、ダニなどの対策として、ハーブを置いたりすることもできるので、スノコは必ず作りましょう。
重箱
重箱式巣箱本体の一番重要な部分です。
蓋と底がない箱のようなもので、この部品を重ねるから「重箱式巣箱」といいます。
採蜜をするときは、 この重箱の一段一段を切り離して、 蜂の巣を採取します。
蜂の巣が下に大きく伸び成長してきたら、この重箱を出してスペースを広げたりするので、ミツバチが入居したらたくさん作っておきたい部品です。
重箱を作るときは、重箱の内部に十字のように針金を貼り付けることが重要です。 この十字がないと、 暑い夏や採蜜時に巣が崩れる原因となるので、 必ず取り付けましょう。
巣門
巣門は字の通り「巣」の「門」、 日本ミツバチたちが出入りする入り口のことです。
ただ出入りするための入り口ですが、 入り口の高さを7cm以上にすると、大スズメバチに襲われたときに侵入される危険があるので、適当ではなくサイズを測りながらしっかり作りましょう。
7cmは、ニホンミツバチは通れるけどスズメバチは通れないちょうどいい大きさです。
高さを狭くし、 ミツバチが通れる幅を広げることです。
底板
一番下に敷く「底板」です。
ただ下に敷くだけなので、ただの板でもいいですし、ベニヤ・合板でも大丈夫です。
こちらに、巣をを作るときに出たクズが溜まるので、引き出しのように作れたらさらに良いでしょう。
重箱式巣箱の作り方
以上のの5つの部分をつくれば、後は重ねるだけで完成です。このシンプル状態の巣箱を日本ミツバチの捕獲用として使います。5つの部品を重ねただけのシンプルな待ち箱なので、 初心者でも簡単に作ることができます。
まずは一つ一つの部品の作り方を詳しく解説していきます。
1 重箱(じゅうばこ)をつくる
まずは重箱式養蜂箱でもっとも重要な部分、重箱(じゅうばこ)を作ります。
重箱式養蜂箱は、この重箱を重ねて使う巣箱です。
ミツバチはこの重箱という部分に巣をつくり、蜜をためたり、子育てをします。
内寸215ミリ×215ミリ×150、外寸275ミリ×275ミリ×150の重箱の作り方です。
手順1 重箱の材料と道具
まず重箱を作るために必要な材料です。
重箱の材料と道具
・厚さ30ミリ 幅150ミリ×長さ247ミリ 杉板 (8枚)
・ネジ コーススレッド半ねじ 75ミリ (12本)
・針金 太さ 2.6ミリ
・インパクトドリル (プラスピット 3・2mm穴あけビット)
・ペンチ ・ハンマー ・ガスバーナー
厚さ30ミリ、幅150ミリの長い板を買って、 自分またはホームセンターで長さ247ミリにカットします。
多少サイズが違っていても問題ありませんが、板の厚みは薄いと断熱性がなく、外敵からの被害が受けやくくなるのでなるべく厚みのある板を使います。
24ミリでは薄く、35ミリでは手に入りにくいので、おすすめは30ミリの板です。
インパクトドライバーやドリルを持っていない方は、 耐久性は落ちますが釘で代用しても良いです。
木材を選ぶときのポイント
木材の選び方を選ぶ際のポイントについて解説します。
木材の選ぶときのポイント
- 材木は杉がオススメ
- 沿っていないものを選ぶ
- 節がなるべくないものを選ぶ
- 防腐剤は避ける
使用する木材で一番オススメなのが杉です。杉は柔らかいけど耐久性が高いため加工がしやすく、価格も低めです。 防腐剤処理をされている木材は、ニホンミツバチが嫌がるので避けましょう。
木材を選ぶときは、なるべく曲がっていない節の少ないものを選びましょう。曲がっていると、木と木の間に隙間ができてしまったり、 節が多いと穴があき光が内部に漏れ込むことがあります。
穴や隙間が開いていると、ミツバチ以外のスムシなどが入りやすくなり、 ニホンミツバチの捕獲率も下がるので注意しましょう。
注意ポイント
ホームセンターなどで安く売っているホワイトウッドなどを使う方もいますが耐久性が低いのでさけた方がいいです。
手順2 木材を切断する
材料が揃ったら木材を切断していきます。
巣箱の中は真っ暗が基本。隙間があり巣箱内に光が漏れているとミツバチたちは嫌がり、捕獲の確率も下がります。
隙間を作らないためにも木材は正確に切るようにしましょう。手ノコでは木材を正確に切ることは難しいので、スライドノコという機械を使って切断します。
スライドノコはとても高価な工具なので、持ってない方は製材所で切れている木材を購入するか、ホームセンターのカットサービスを利用すると良いです。ホームセンターでは一カットだいたい50円円ほどでカットしてもらえます。
また手ノコでも市販のアタッチメントをつければきれいに切ることができます。
手順3 穴あけ作業
次に 針金を通すための穴あけをします。
厚さ30mmのすべての板の真ん中の部分に、小さな穴を開けます。これは後で巣落ちを防止するための針金を通す穴です。
穴あけはインパクトリルと3・2mmのビットを使います。
あまり太い穴を開けすぎると、隙間ができ光が漏れたり虫が侵入するので注意しましょう。
手順4 組み立て
穴あけが終わったら次は、組み立てです。
四枚の杉板を図のように並べコーススレッドネジで1カ所に3つネジとめて止めていきます。
ネジで止めるのになるべくずれないようにぴったり合わせて止めましょう。止めるときにずれて失敗すると、巣箱を重ねたときにすき間ができ、中に光が漏れたりスムシなどの被害が受けやすくなってしまいます。
巣箱の出来によっても日本ミツバチが捕獲できる確率が変わってくるので慎重に作業をしましょう。
40㎝のFクランチで押さえながらとめると正確に止めることが出来ます。
手順5 焼き入れと巣落ち棒
日本ミツバチを飼育していると暑さなどで、巣が溶けて落っこちてしまうことがあります。巣が落っこちてしまうと逃亡してしまうことがあるので注意が必要です。
そこで針金で巣落ちしないよう十字にかけます。
次の動画を参考にしてみてください。
巣落ち棒が付けおわったら、最後にガスバーナーで周りを軽く炙ります。
炙ることで耐久性が高くなります。
隙間がある場合はコーキング剤で埋めよう
木材をまっすぐ切っていたとしても、木材が微妙にそっていたりするとどうしても木と木の間に隙間ができてしまったりすることがあります。 小さい隙間であればミツバチたちが自分で埋めます。
しかし大きな隙間が空いてしまった場合は、隙間をコーキング剤を使用して塞ぐと良いでしょう。
節なども気になる場合は全部くり抜き、 コーキング剤で埋め直してもいいです。
スノコを作る
次は重箱の上部に取り付けるスノコという部分を作っていきます。
スノコを取り付けることで、蓋を開けて中を確認でき、採密時にハチの犠牲にしてしまう心配も無くなります。また、アカリンダニ対策でメントールクリスタルを処方することも可能です。
スノコに必要な材料は以下の通りです。
スノコ材料
・板厚5ミリ 幅30ミリ 長さ238ミリ できれば杉 (防腐剤加工されていないもの)
・板厚5ミリ 幅30ミリ 長さ210ミリ できれば杉 (防腐剤加工されていないもの)
・φ2.1ミリ 長さ10ミリ ステンレス製 木ネジ (12本)
材料がすべてそろったら図のような形で組み立てていきます。
スノコの木材は、幅は少し大きくても、調整するのであればokです。
巣門(すもん)をつくる
次は巣門(すもん)を作っていきます。
巣門は名前にもあるように巣への入り口、ミツバチが出入りする門の事です。
巣門広さによってオオスズメバチに被害に遭うことがあるので、注意しましょう。
巣門に必要な材料です
巣門に必要な材料と道具
・厚さ30ミリ 長さ250ミリ 幅50~150ミリ 杉板 (4枚)
・コーススレッド 半ねじ 75w (8本)
・鉄やすり
作り方は重箱とほぼ同じです。
重箱のように組み立てたら図の黒い部分を鉄やすりで削り取ります。
入り口の高さは必ず7ミリにします。これ以上広く作ってしまうと、日本ミツバチの天敵であるオオスズメバチに巣箱の中に侵入されてしまいます。
入り口の幅は10センチと書いてありますが、もっと広くても問題ありません。入り口が狭いと巣箱内が高温多湿になったり出入りするハチが渋滞してしまう原因になるので、広くとっておくことをおすすめします。
天井をつくる
天井は重箱の一番上、ふたの部分です。
ミツバチが天井部分に巣を作ってしまわないように金網を取り付けます。
天井の材料は
天井の材料
・厚さ12ミリ(多少違っていても問題ありません) 275ミリ×275ミリ 杉板 (合板でも可)
・板厚15ミリ 幅18ミリ 長さ247 杉 (4枚)
・木ネジ φ3.3ミリ×25ミリ
・238ミリ×238ミリ 網目3ミリ 金網
・φ2.1ミリ 長さ10ミリ ステンレス製 木ネジ (12本)
・+ドライバー ・インパクトドライバー
杉材を合板に木ネジで固定します。
金網を木ネジで枠のなかに取り付けます。
底板
底板は巣箱の一番下に敷く板です。
巣箱の外寸より多きればどんなサイズでも問題ありません。
普通の板または合板でokです。
屋根
雨除けに屋根をつけます。 波板を巣箱より少し大きく切ったものを、乗せるシンプルなもので大丈夫です。
最後に重ねて完成
後は写真のように上から天井、スノコ、重箱、巣門、底板の順番に重ねていきます。
重ねるだけだと、衝撃だけでバラバラになるので、天井、重箱、スモンの間の隙間を埋めるような形で、テープを一周ぐるっと貼り付けましょう。 ガムテープでもいいですが、 剥がした時にノリが残るので、 気になる方は養生テープを貼り付けると良いです。 僕は黒い養生テープで貼り付けています。
テープを貼付終わったら、日本ミツバチの捕獲に必要な待ち箱の完成です。
日本ミツバチが入居したら屋根などをたしていきます。
待ち箱を沢山作って設置しよう
日本ミツバチを捕獲するには巣箱をなるべく沢山用意しましょう。沢山巣箱を設置すれば捕獲できる確率はどんどん上がっていきます。今回紹介した巣箱を沢山用意して日本ミツバチの捕獲に挑戦してみましょう。
日本ミツバチを捕獲するには巣箱の設置の仕方がとても大切です。
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