「玉ねぎの自家採種ってどうやるの?」「F1種でも種は採れるの?」と疑問に思っている方へ。
玉ねぎの種取りはちょっと手間はかかりますが、一度経験するとその奥深さと面白さにきっとハマります。
この記事では、自然農で育てた玉ねぎから自家採種を行っている筆者が、初心者の方にもわかりやすく、玉ねぎの種取り方法を丁寧に解説します。
目次
玉ねぎの種採りの概要
自家採種の時期:6月〜7月頃
自家採種の方法:とう立ちしていない玉ねぎを選抜し、翌年花を咲かせて種を採る
1株から採れる種の量:1株あたり数百粒(保存や翌年用に十分)
自家採種に向く品種:固定種・在来種を選ぶのが基本
種取りのサイクルは2年越しになりますが、畑に合った丈夫な品種を育てることができ、家庭菜園の楽しさもぐんと広がります。
玉ねぎの種採りのポイント
玉ねぎの種取りで最も重要なのは、「とう立ちしない親玉ねぎを選ぶこと」です。
とう立ちしやすい玉ねぎを使うと、次の世代でも花ばかり咲いて玉が太らないことが多くなります。
「とう立ちしていない」「病気に強い」「形が良い」「好みの大きさ」など、しっかりと選び抜いた玉ねぎを使うのが、自家採種成功の第一歩です。
玉ねぎの自家採種のやり方
1年目:玉ねぎを育てて親を選ぶ
種まきと栽培
まずは9月に種をまいて、通常通り玉ねぎを育てます。 玉ねぎには早生・中晩生・晩生などの種類があり、地域や気候に合わせて選ぶことが大切です。
- 早生種はみずみずしく生食向きですが、保存性が低め。
- 晩生種は辛みがあり加熱向きで、長期保存に優れています。
- 中晩生種はその中間で、バランスのとれた性質があります。
北海道など寒冷地では春まきの玉ねぎのみ栽培可能なため、選び方に注意しましょう。
親玉の選抜と保存
翌年6月に収穫した玉ねぎの中から、とう立ちしていないものを選び、自分の好みに合った20玉程度を種取り用に残します。
形が良い、病気に強い、大きさがちょうどいいなど、「またこの玉ねぎを作りたい」と思えるものが理想です。 選んだ玉ねぎは、風通しの良い場所(貯蔵庫や軒下など)で夏の間しっかり乾燥・保存しておきます。
2年目の秋:植え直して越冬させる
植え付け
10月〜11月頃になったら、乾燥・保存していた玉ねぎを再び畑やビニールハウスに植え直します。 土の上に並べて、1/3ほど埋める形で定植します。
冬越し準備
定植から半月ほど経ち、根がしっかり張ったら、玉ねぎ全体を土で覆って冬越しの準備をします。 寒冷地では、藁や落ち葉などで防寒対策を行いましょう。 その後、分球が進み、春の成長に備えます。
3年目の春〜夏:花を咲かせて種を収穫
開花と受粉
春になると、玉ねぎからネギ坊主が伸びてきます。 5月〜6月には白い花が一斉に咲き、受粉が必要になります。
ハウス内で育てる場合はミツバチを導入し、交雑を防ぐために寒冷紗で囲って隔離状態にすると安心です。 屋外の場合は雨よけを設置し、晴れた日に手で花を触って人工授粉を補助するのも効果的です。
特に梅雨時期は虫が少なく、受粉不良が起こりやすいため、人工授粉の重要性が増します。
F1品種の注意点
最近のF1品種には「雄性不稔」といって花が咲かない特性を持つものがあり、自家採種には不向きです。 固定種を選ぶことで、確実に種を採ることができます。
種の収穫と乾燥
7月の終わり頃には、種が黒く熟してきます。 種が自然にはじける前に花ごと収穫し、風通しの良い日陰で1ヶ月ほど乾燥させます。
乾いたネギ坊主は手で揉みほぐし、軽い種皮は風で吹き飛ばして種を選別します。
保存と活用
取り出した種は乾燥剤と一緒に密閉容器に入れ、冷暗所(理想は冷蔵庫)で保存します。 翌年の播種に使えるほか、保存は1〜2年が目安です。
種採り後の玉ねぎは分球し、新たな芽が出ることもあります。 葉玉ねぎとして再利用したり、さらに種採りに活用することも可能です。
玉ねぎの自家採種Q&A
Q. F1品種でも種取りできますか?
A. 一応できますが、同じ性質が出にくく、翌年に育つ玉ねぎの品質はバラバラになる可能性が高いです。できれば固定種を使うのがおすすめです。
Q. どこで育てても種は採れますか?
A. なるべく他の玉ねぎの花粉が飛んでこない場所が望ましいです。他の品種と交雑すると、思ったような性質が出にくくなります。
Q. 保存はどのくらいできますか?
A. 玉ねぎの種は短命種子に分類され、保存期間は1〜2年程度です。常温ではさらに寿命が短くなるため、できるだけ冷蔵庫などの冷暗所で保管するのが望ましいです。 その年に使い切るのが理想です。
まとめ|玉ねぎの自家採種は畑づくりの楽しみの一つ
玉ねぎの自家採種は、手間はかかりますが、畑に合った品種を自分の手で育てられる貴重な方法です。
固定種や在来種を使って、自分の畑にぴったりの玉ねぎを選び育てることで、農薬や肥料に頼らなくても丈夫に育つ品種を残すことができます。
ぜひ一度、自分だけの玉ねぎ作りに挑戦してみてください!